行政書士試験の「憲法」について
憲法の特徴
難易度が高い割に得点配分が少ない
まず行政書士試験の中にあっての憲法の立ち位置、優先順位を見ていきましょう。出題数は、択一形式が5問(各4点)/多肢選択が4問(各2点)、合計の配点は300 満点の行政書士試験で憲法への配点は28点です。これは行政書士試験の中で、行政法(112点)、民法(76点)、一般知識(56点)についで4番目の配点で、それほど多いとは言えない科目といえるでしょう。
初学者によって学習しやすさが異なるのが「憲法」
憲法は、学習しやすさと、学習のしづらさが同居する科目です。
学習しづらいと言われる理由としては、「条文中に主語がなくニュアンスを捉えにくい」「判例に関する基礎知識が必要」「合憲あるいは違憲の判断基準となるキーワードがある」などの特徴があるからです。このため、「憲法」という項目は理解するにあたり、行政に関する判例・条文などの基礎知識をも有していないと難しいものとなり、その点で言えば特に法律初心者は学習にとっつきにくい科目となります。
逆に学習者によっては「とっつきやすい」と言われる理由として、憲法自体は聞いたことがあるもの多いため、なんとなく理解しやすいと感じる人も多くいます。
時間のかけすぎに注意・後回しでもOK
憲法は配点面と学習効率から考えて、優先順位では決して高くないので、はっきり言えば後回しにできる項目と捉えていいでしょう。憲法の勉強に時間かけるのでしたら、行政法や民法に多くの時間を割くべきです。
学習を初めて難しい、と感じたら後回しにするのも手です。
憲法の対策として有効な勉強方法
憲法は択一と多肢で出題がされますが、問題数はそれほど多くありません。ただし、例年難易度は上がっている分野でもあります。得点を取りに行くにあたり学習をするからには、以下の点をしっかり押さえておきましょう。
対策1.条文を読み込み、判例とセットで覚える
憲法では基本的な内容に関して、判例を通して深い知識を解いてくる問題が多いため、基本的な内容を抑えた上で応用問題にも対応できるようにしておきましょう。また、条文からの出題も多いため条文の読み込みは徹底的に行ってください。特に憲法は条文数も少なく、条文自体もどこかで聞いたことがあるものが多いため、そういう意味では学習初期でも比較的すんなり読めるかと思います。
条文の読み込みには六法がオススメ
条文の読み込みには六法がオススメです。最初から細かい論点まで気にせず全体を大雑把に把握することから始めましょう。最初から深く読み込もうとするとハマってしまいそこに時間を取られてしまうので、まず大雑把に読み流して骨子を掴むことが大切です。最初から全て理解しなくても大丈夫です。
対策2.過去問・予想模試と対策1を回す
憲法の問題は、「判例を中心とした応用問題」とも言い換えることもできます。判例や条文などを学び、文章のニュアンスを掴めるようになったら、憲法の問題にチャレンジしましょう。
実際に過去問、予想模試などを解いていき、出題された条文や判例をテキストなどで復習・確認し、条文・判例の読み込みを反芻することで、効率良く理解を深めていくことができます。
対策3.分野別に理解を深める
人権分野は本質的な理解が重要
人権分野は特に条文と判例の読み込みが大切です。何故そのような判決に至ったのか、本質的な問題を意識しながら学習することが大切です。そのように学習を進めていくと、事案を読むだけである程度、合憲か違憲かを判別できるようになってきます。
行政書士試験の憲法が難しいのは、こういった「判例の結果を問われる」のではなく、「どのような考え方、基準、法理を使ってその判決となったのか」といった本質的な理解がないと回答できない問題が出題される点です。出題には時事問題やニュース等で取り上げられる有名な事件も含まれることもあるので、そういったわかりやすい判例から少しずつ勉強していくといいでしょう。
統治分野はほぼ暗記
統治分野は国会の仕組みや内閣の構造、司法との関連、などの条文がまとまって出題されることが多く、ほぼ暗記になります。学習には、条文の読み込みが特に高い効果を発揮するほか、図表などを用いた体系的な理解が効果を発揮します。
暗記さえすれば点が取れるのはある意味で言うと楽な分野と言えます。ここについては対策するかしないかの問題なので、確実に取れるようにしましょう。
憲法の教科書作成法
憲法では判例の知識が要求されることが多いです。そのため、教科書作成では基本事項と判例と条文をセットにするようにしましょう。
また身近な国会や内閣に関しての出題も多いことから、図や表を用いて体系的に理解するとよいでしょう。過去問とテキストで出題傾向を探りつつ、効率的な学習を心がけてください。