他人事じゃない!行政書士の失敗事例〜廃業パターン10選

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以前の記事で行政書士の開業から3年以内に半数は廃業するということをお伝えしました。しかし廃業するといっても理由は様々です。単純に食べていけなくなるということはもちろん、本業外で成功する人もいれば再就職して別業種に転職というパターンもあります。

ここでは、「行政書士として独立開業しながら専業では食べて行けず止む無く廃業する行政書士」が陥りがちな失敗事例を8つご紹介します。

行政書士が陥る廃業パターン・失敗事例10選

行政書士が廃業する場合、その失敗の仕方を聞いていると大体するの方には共通する点があります。大きくは「お金の問題に直結する」問題(1〜4)と、「業務遂行上」の問題(5〜8)、「環境のコントロールに失敗」(9〜10)から問題につながるものがあります。

  1. 営業力が足りなくて仕事が取れずに廃業
  2. マーケティングの認識が甘くて食えずに廃業
  3. 初期投資をかけすぎて資金不足になって失敗
  4. 請求管理、報酬管理ができなくて失敗
  5. 経営力不足
  6. コミュニケーション能力不足
  7. 実務能力不足
  8. コンプライアンス意識の欠如
  9. 業務領域を絞りすぎて失敗
  10. 仕事を受けすぎて体を壊す

 これらのうち、一つだけ該当しても十分に廃業の原因になりえますし、複数該当すると更に廃業の確率は高まります。それぞれについて見てみましょう。

1.営業力が足りなくて仕事が取れずに失敗

営業力が足りなくて失敗する、というパターンです。このパターンでは要するに仕事が取れなくて食って行けずに、廃業するという人が圧倒的に多いです。

このパターンで失敗する人は、とにかく「行動」が遅い

このパターンの人はとにかく何をするにも行動が遅い方が多いです。例えば、開業届や青色申告承認申請などは開業してすぐにやるべき手続きですが、期限ぎりぎりまでこの手続きをしようとしない方。

こういったことは「必ずやるべき」ことであって、そこに「判断」は必要ありません。「行動」するだけです。

ビジネスはスピードが命なのに、それができない。こういうタイプの方は、そもそもビジネスには向いておらず行政書士としてもなかなか立ち上がりが遅く、成功からも遠ざかってしまいます。

そもそも「行動」しない人も失敗する可能性が高い

また、「最初の一歩が怖くて踏み出せない」という人もいます。

例えば、開業にあたってWebサイトやブログで集客をする必要がある、という判断に至った場合、〝できる新人〟は、深く考えず直ちにブログを開始します。しかし失敗して廃業にまで陥ってしまう人の多くは、さんざん相談するだけしておいて結局ブログを始めない、というタイプの人です。

最悪、ブログ自体がうまくいかなくてもいいんです。「行動する」ことが何より重要なのです。

それなのに、「なぜ始めないのですか?」と聞いたら、「なかなか時間がとれなくて・・・」「どういう形にするか考えているところで・・・」などといった言い訳を始めます。

時間が作れないのなら、時間を作るためにどうするかを考える。最初から完璧な形になど作れないし後から改善だってできるんだから、どういう形にするかは作ってみてから考える。それで良いのです。最初から完成度が高いものなど求める必要は本当に本当にありません

2.マーケティングの認識が甘くて失敗

ホームページがあれば仕事が入ると勘違いしているパターン

自分で事業をしたことがない人にありがちなのですが「ホームページがあれば食べていける」と思い込んでいる人です。「どうやって仕事を取るつもりですか?」「どうやって食べていくんですか?」と聞いた時に「とりあえずホームページを作ろうと思っています。」とだけ答えて終わってしまう人。

その後にどのくらい時間と手間をかけてSEOで検索順位をあげていくのか、クロス・マーケティングするのかといった話につながればいいのですが、大抵はそこで次が続きません。

ホームページは最強の広告ツールだと思ってる方がいますが、実際作っただけではどうにもならないことが多いです。お問い合わせにしても、よくて100PVにつき1件問い合わせがあれば相当いい方です。大抵はPVすらそこへ到達しないです。

潤沢な広告費(十数万以上)を毎月打てるなら別ですが、単純にホームページを作ったとしても仕事には繋がらないです。

3.初期投資をかけすぎて資金不足になって失敗

立派な事務所やオフィス用品にお金をかけすぎる

「開業するなら見栄えが大事だ!」というのもわかりますが、必要以上の投資をしてお金を無駄にかけすぎる人もたまにいます。場所にこだわって一等地の駅近に事務所を開こうとする人、新しく高いPCを購入したり、オフィス家具を入れたり。その結果、運営中に資金繰りが難しくなった時に余剰資金が足りなくなって運営費不足に追い打ちをかけるように報酬管理不足が起きた場合は経営が破綻します。

4.請求管理、報酬管理ができなくて失敗

仕事はあるのにも関わらず請求管理や報酬管理がおざなりになっていたせいで入金されるはずのお金が入金されず、現金が足りなくなってしまうことはよく聞く話です。しっかりとした蓄えのない状態で独立した場合、仕事の完了から入金まで時間がかかったり予定通りに入金されないと死活問題になることがあります。

依頼者が報酬基準通りに払ってくれると思っていたら大間違いです。もちろんほとんどのお客様はそうではない(と信じたい)ですが、仕事内容にケチをつけて払わない、値引きを要求してくるなんてことは当たり前に起こりえます。

相手が行政書士だから、きっちりと仕事をしたから何も言わずとも依頼者がちゃんと払ってくれる、と思っていたらそうはいかない場合もあるのです。仕事に関してはしっかりと線引をし、仕事に関してはきっちりと報酬を回収することを徹底しましょう。

5.経営力不足

これは全体的に認識が足りない人に多いのですが、勉強だけできて経営意識が低い人が陥るパターンです。資格を取ることと仕事を取ることはまったく別次元の世界であることを理解できていない人が多いんですね。

行政書士として独立すること=起業すること

「行政書士として独立する」というのはつまり「起業する」ことであり、行政書士業務といっても必要になるのは事業経営です。なのですが、この意識が低いままに「なんとかなる」でやって失敗する人がとても多いのです。

ターゲットはどういう人で、どういう風にアプローチして、報酬はいくらで、どういう差別化をして、どんな風にサービスを提供するか。そういうことを事前に考えておきましょう。

ビジネスマインドがなく経営者としてのリーダーシップがなく、他力本願で、販促やマーケティングの勉強をしない。そんな人は資格があるからといっても成功できるはずがありませんね。

6.コミュニケーション能力不足

コミュニケーション能力は非常に重要

行政書士業務においては、単純なコミュニケーション能力というのも非常に重要です。お客様には頭の回転が早い方もいれば、行政書士業務に疎い方もいて業種も様々です。その中で仕事を取るには、相手の質問についてその意図を理解し的確に答えたり、相手のレベルにあわせて話をする必要があります。

また、お客様以外にも役所や警察など様々な官公庁とのやり取りが発生するのも行政書士の仕事の特徴です。そんな時に、お客さんやお役所とまともにコミュニケーションが取れない人は、仕事の遂行自体が難しいですし、例え仕事を受けられたとしても次が続かないでしょう。

ビジネスは人と人との繋がりで成り立っています。基本となるコミュニケーションが取れないのは致命的といえるでしょう。相手が自分に何を求めていて、その求めに応じて役に立てることはなんなのか、常に考えておくようにしましょう。

7.実務能力不足

ほとんどの行政書士は、試験に合格してからいきなり開業します。その点で最初は右も左もわからないうちからスタートするのはある程度仕方のないことです。今は大活躍している有名な行政書士の先生でも、はじめは右も左もわからないド素人だったのです。

ある程度マーケティングを一生懸命に勉強して、仕事は取れるようになったら、まずは目の前の仕事をしっかりとこなし、目の前のお客様を大切にしていきましょう。実務能力は実際に仕事をしてみることでしか身につきません。もし仕事がないなら自分で申請してみる、というのも手です。

しかし、開業してから何の挑戦もせず、勉強もせずに仕事ができるようになることなどはありえません。そういう人はいつまで経っても実務能力がつかず、仕事の幅も広がらず受けた仕事も完遂できずにトラブル続き、ということになってしまうでしょう。

8.コンプライアンス意識の欠如

法令違反を起こしてしまう行政書士は毎年います。

司法書士の資格がないのに所有権移転登記申請書を事務員に作成させて法務局出張所に提出したり、行政書士で「介護事業の指定申請やります!」と謳っていたり。

こういったものは司法書士社会保険労務士独占業務のため、認識があるにしろないにしろ法令違反で業務停止処分になります。他士業などの独占業務に抵触しないかどうかというのはきちんと確認するようにしましょう

9.業務領域を絞りすぎて失敗

行政書士業務の状況は、業界大手の進出や法令の変更など、外的要因によって大きくルールが変わることが少なくありません。行政書士にとって、最も痛手となるのが、主力としていた業務ができなくなることです。

  • 法改正で業務内容が変わってしまった
  • 同領域で、強力な同業者が出てきた

など、こういった外的要因により主力業務の存続が難しくなることは珍しいことではありません。

専門性を向上させて業務品質を向上させるため、差別化を図るために、業務領域を絞ることは多くあります。また、同じ業務領域のものをこなしていれば、当然作業スピードも上がり、業務効率はとても良くなります。

しかし、それには「法改正」や「競合の出現」など外的要因によって一気に状況が変わるリスクもはらんでいます。一概に良い悪いが言えないのが難しいところですが、日頃から情報収集を怠らず、自身の業務領域のリスク分散を図ることが重要です。

10.仕事を受けすぎて業務過多になる/体を壊す

行政所為に限らず、どんな独立系の仕事もそうですが、全ての資本になるのが「自分の体」「健康」です。とくに独立開業の行政書士は、独立してしばらくは補助者や従業員を雇えないことを考えると、細心の注意をはかっておいた方が良いでしょう。その間は、すべての業務を一人で行わなくてはいけないからです。

当たり前のことですが、独立した場合、自分が仕事を休めばその間の収入はゼロになります。逆に仕事の数が増えれば増えるほど、収入が増えます。そのため、開業時、資金が苦しいときは、多少の無理をしてでも仕事を引き受けてしまうケースが少なくありません。

その結果、自分がコントロールできる以上の仕事を受けてしまい、睡眠時間もままならなくなり、業務過多となってしまう行政書士も少なくありません。その上、体を壊してしまっては本末転倒です。

業務量と体への影響、仕事量と資金のバランスをよく考え、コントロールすることが大切です。

成功するには廃業しないこと

いかがでしたでしょうか。成功するには失敗がつきものですが、いらぬ失敗は避けるべきです。

そしてせっかく開業しても、廃業してしまっては元も子もありません。もちろん開業当初から全てを完璧にこなす必要はありませんが、行政書士として開業する上で廃業のリスクはどなたにも存在することを認識しておきましょう。経営力/資金繰り/実務能力/コンプライアンス意識、どれをとっても独立していく上で行政書士としては不可欠な能力です。

人の失敗を糧に自分を冷静に振り返ろう

専業行政書士として行く方も副業で行政書士をする方も、これらの失敗事例を糧にぜひ成功を掴み取って下さい。

 

 

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