実際どうなの?「行政書士の資格・仕事について語られる魅力」について検証してみた

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独立系の資格として有名な行政書士は、難しいながらも勉強さえすれば独学で資格取得が可能、ということで目指すひとが多い資格です。そして、資格取得系のサービスや学校でも行政書士の魅力が数多く語られています。

ここではそういったところで語られている行政書士の魅力、それに対して「本当のところどうなんだ?」という私の私見を述べていきます。よく語られる「行政書士の魅力」には以下のようなものがありますね。

  1. 独立開業できる
  2. 業務の範囲が幅広い
  3. 他資格へのステップアップが可能
  4. 自分のペースで仕事ができる

それぞれについて見ていきましょう。

1. 独立開業ができる

よく語られる魅力:「独立開業のしやすさ」に関するメリット

行政書士の資格があれば、行政書士登録をして行政書士として開業することができます。法定に則った実地研修もないですし、試験に合格して資格取得してしまえば即開業が可能です。そういう意味では確かに魅力がある資格であると言えます。
また自宅を事務所として登録することも可能で、非常に少ない資金で開業することができます。
現在、行政書士の登録者数は全国で4万人を超えており、非常に活気のある職種となっています。

【実際】「独立開業がしやすい」=「食っていける」ではない

確かに資格取得を取得してしまえば、そこから独立開業するのにハードルは低い資格であると言えるでしょう。しかし独立したからといってすぐに誰でも食べていけるかと言えばそうではありません。営業努力やマーケティング、きちんとした顧客対応からサービスの提供まで、独立するということはそれら全てを自分でやれることが要求されます。自分の頭で考えて自分の手を動かし試行錯誤する必要があるんですね。ですので、もともと自分でそういった工夫を出来る人ならば魅力的な資格と言えますし、仕事を待っているだけの人にとってはそれほどパワーのある資格とは言えません今の時代「資格を取れば一生安泰」なんて資格はありません。

2. 業務の範囲が幅広い

よく語られる魅力:「業務範囲が広い」ことに関するメリット

行政書士の業務(書類作成等)は、数千~1万種類以上あると言われています。許認可申請業務や契約書作成業務といった伝統的な業務だけでなく、法律が制定されて新しく作られる分野や、未開拓な分野も多数存在しますので、業務の可能性は無限です。

【実際】創意工夫次第で勝負ができるという点では魅力的

業務の幅が広いということはそれだけ可能性が沢山ある、と言うことはできます。ただ、逆に言うと何をやるのかを自分で選ばなければならない、ということです。これは思いのほか大変なことで、起業にしても「何をやるにも自由です」と言われても選択肢が多すぎて何をやっていいかわからなくなる人も出てきます。

その代わり、ニッチでも未開拓の分野を自分で見つけて開拓すればその分野を独占することができ安定して食べていけたり、自由な時間を使えたり、という可能性は確かにあります。また得意分野があれば仕事を効率化することで収入を増やす事もできます。

3. 他資格へのステップアップが可能

よく語られる魅力:「他資格の取得」に関するメリット

行政書士試験の出題内容や学習範囲は「司法書士試験」や「宅地建物取引士(旧:宅地建物取引主任者)試験」と一部重複しています。また、行政書士試験に合格すれば、大学(短期大学を除く)において62単位以上を修得した方など以外でも「社会保険労務士試験」の受験資格を得ることができます。さらに、行政書士登録をすれば、「弁理士試験」の科目免除などを受けることができます。

【実際】プランや具体的な展開を考えているなら意味があるが、資格バカにならない注意が必要

資格取得のステップアップとして行政書士の資格を取得してから他の関連資格を取ってダブルライセンスにする、というのも確かに一つの道です。また試験勉強をするにしても範囲がかぶる部分もあるため、効率よく学習を重ねることはある程度できるでしょう。

ただ、ダブルライセンス、トリプルライセンスを目指すにしても、その先に明確な目標や仕事上のプランがない限りはあまり意味はなく、ちょっと厳しい言い方をするとただの資格バカになりかねないと私は考えます。資格は持っているだけでは意味を為しません。

ダブルライセンスの人が必ずしも行政書士として有能か、と言われればYESともNOとも言えるからです。もちろん勉強はできるのでしょう。ただそれが実務や実際の仕事現場で依頼者に対して良いサービスが提供できるかは別問題なのです。行政書士としてまずしっかりと実務が出来る上で、別の資格を取って業務を広げる目的がある、という考えならわかります。資格を取ってダブルライセンスだから仕事がもらえる、という考え方は本末転倒だと思います。

4. 自分のペースで仕事ができる

よく語られる魅力:「自分のペースで仕事ができること」に関するメリット

行政書士が行う調査や書類作成など、仕事の大半を占める実務作業は、まったく自分のペースで進められます。自宅が仕事場なら朝起きて、自分の好きな時間に仕事を始められるし、休日も自分で自由に決められます。

もちろん行政書士もお客様あっての仕事ですので、依頼や打ち合わせなどの時間はお客様の都合に合わせる必要がありますし、提出書類の納期厳守は絶対です。しかし、それも自分の自由で選ぶこと。自由裁量のある働き方は魅力です。 

【実際】やるもやらないも自分次第、自由には自己責任が伴う

自分のペースで仕事が出来ると言えば聞こえはいいですが、仕事には必ず納期があります。また、特に開業した人の場合開業したての頃はまだそれほど仕事もないでしょうから、安定した収入が出来るまでは「自分のペースで〜」なんて悠長なことは言っていられません。自分の力だけで稼いで食べていくことが前提になりますから、週末も仕事に追われることもあるかもしれません。

しかし、やればやるほど成果が出るフェーズに入れば収入はうなぎのぼりですし、安定した顧客がいる状況で業務をきちんと仕組み化すれば確かに自分のペースで仕事ができ、自由時間を作ることも可能です。資格取得すればOK、と安易に考えるのではなく、あくまで結果が出るまでは自己責任で頑張る覚悟が必要、と考えましょう。

まとめ

実際に行政書士になって独立開業してみるとわかりますが、あまり考えもなしに「行政書士になれば独立して食べていける」と考えている人があまりに多い気がします。そんなに甘くないです

自分の頭で考え、自分の足で立ち、自分の言葉でお客様とコミュニケーションをし、きちんと成果を出していく、そういった覚悟と実力が求められます。ただ、そういう覚悟があれば独立してやっていくのも不可能ではありません。

行政書士として一人でやっていく方が不安な方は、先輩行政書士や教材などに頼るのも一つの手だと思います。うまくいくために、初めから楽をするのではなく、「苦労は勝手でもする」ぐらいの覚悟で、あらゆる努力を払いましょう。

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