これまで3回に渡って自宅開業に関する記事を書いてきましたが、具体的にはどのような業務が自宅開業に向いていて、どのような業務が自宅開業に向かないのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
行政書士の自宅開業に向いていない業務とは?
依頼者が行政書士の事務所に来ることが多い業務
依頼者が行政書士の事務所に来ることが多い業務の例
- 会社設立などの業務
- 一般民事の業務(相続・離婚事案・内容証明の作成など)
・・・e.t.c.
依頼者が行政書士の事務所に来ることが多い業務には、以下のような共通点があげられます。
1)公共の場では話しづらい内容であったりプライバシーに関わる内容がある場合
落ち着いた場所で話したい、といったことで行政書士の事務所やプライバシーが保たれる個室での会話を望む方が多くいます。他の身内がいる依頼者自身の自宅や、公の喫茶店では話しにくいでしょうし、やはり依頼者としてはまずは事務所に行ってしっかり話をしたい、というのが心情でしょう。
2)依頼者自身の方でオフィスがない場合など(会社設立前など)
会社設立前は依頼者もまだ会社がないので事務所契約前でとりあえず相談にいく、という場合も多く、活動拠点がない状態の創業者が行政書士事務所に来られるパターンが多いです。また起業される方自身もフットワークの軽い方が多いので「とりあえず出向く」といった形で気軽にいらっしゃることが多い印象です。
3)しっかりとした打ち合わせが必要な場合など
一般的な許認可申請や、定款の作成などについて会社設立の内容についても詳しく聞く必要があるため、時間をかけて打ち合わせをするようなスペースが必要になります。
これらの業務を受ける場合はきちんとした事務所を構え、顧客のプライバシーを守りながらしっかりと対応ができる方がよい業務といえるでしょう。
自宅開業に向いている行政書士業務とは?
依頼者が来る必要がない&行政書士が出向くことが自然な業務
依頼者が来る必要がない&行政書士が出向くことが自然な業務の例
- 飲食店営業許可
- 風俗営業許可
- 車庫証明
- 家系図の作成
- 農地転用
- ドローン飛行許可申請
- ・・・e.t.c.
依頼者が来る必要がない&行政書士が出向くことが自然な業務には、共通点として以下の様なものが挙げられます。
1)そもそも、依頼者が事務所に来る必要がない業務
依頼者が事務所に来る必要のない業務として、「とりあえず許可申請を取りたい!」と思っているような業務のなかで、比較的重くない許可申請系などがあります。
具体的には家系図の作成やドローンの許可申請などは、Webサイトや電話、Eメール等できちんとヒアリング対応することで必要な情報はほぼ確認することができ、書類のやり取りも等は郵送で完了できるため、打ち合わせスペースが必要なく自宅で作業を行えば作業を完了できます。そのため、自宅開業であっても全く問題なく業務が展開できます。
2)行政書士が出向いた方がいい業務
風俗営業許可や農地転用、酒類販売業免許のように店舗や現場に行かないと実測等ができないため、行政書士が出向く理由がある業務では、そもそも「事務所で話すより現場で」となりやすいような業務に関しても、自宅開業でも何ら問題なく遂行できる場合が多くあります。
まとめ
業務選択次第では自宅開業でも全く問題ない
いかがでしたでしょうか?行政書士が自宅開業をするといっても、いざ開業してみると「自宅開業でも全然いけるな」という場合もあれば、業務によっては「やっぱり事務所がないと厳しいな」というパターンもあり、一長一短ということがあります。
そうは言っても費用面で「まずは自宅開業で始めざるを得ない」「いきなり事務所を借りるリスクをおかせない」「まずは兼業で自宅開業で始める」といった方も非常に多いので、ぜひ当記事を業務選択のコツとして参考にしていただければと思います。
事務所にもメリットはあるので、自宅開業後にでも検討をする
そして本格的に行政書士として食べていけるとなれば、事務所を借りることも検討してみるのが良いと思います。
人を雇う/公私を分ける/業務の幅を広める/信用を高めるといった点で、事務所利用にももちろんメリットがあります。また、自分自身も行政書士としてきちんとやっていくという覚悟を持つ、ということから事務所を持つメリットがあるのも確かです。