行政書士試験の「行政法」について
行政法の特徴
配点・問題数ともに最も多い分野
民法は、出題数で見ると択一形式の問題が19問(各4点)、多肢選択の問題が8問(各2点)、記述式の問題が1問(20点満点)で、配点は合計112点と、最も高い配点です。問題数に表すと全 60 問中に 28 問も占めています。
なぜこれだけ飛び抜けて配点が多く設定されているかというと、「行政法」は行政書士の主な実務である許認可の手続きなどに関しての知識が問われる、重要項目だからです。配点の37%を占める行政法でいかに点数を稼げるかが、行政書士試験の合格を左右すると言っても過言ではありません。
行政書士試験では、この行政法がメインの試験であり「択一」「多肢」「記述式」とすべての出題形式で出題が行われます。行政法に関して手抜きは許されず、1問すら間違えないことを目標に理解を進めることが必要となってきます。
「行政法」という法律があるわけではない
行政法は憲法や民法と違い、「行政法」という法律が存在するわけではありません。この点は少し複雑ですが、国や地方公共団体と人との関係について定めた、行政に関する様々な法律を全部ひっくるめて、その総称を行政法と呼んでいます。
特に行政書士試験における行政法は以下の範囲となっています。
◆行政書士試験での行政法の出題範囲
- 行政法の一般的法理論
- 行政手続法
- 行政不服審査法
- 行政事件訴訟法
- 国家賠償法
- 地方地自法
行政法の対策として有効な勉強方法
対策1.優先順位を決めて学習する
まずは行政3法の条文読み込みから
行政法の出題範囲は、先程述べた「行政一般法理論」「行政手続法」「行政不服審査法」「行政事件訴訟法」「国家賠償法」「地方自治法」です。この中でも特に勉強時間を多く取る必要があるのは、「行政3法」と呼ばれている行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法の 3つです。
この行政3法は、配点合計が60点も設定されており、配点が大きいのにも関わらず、試験範囲の条文数が少ないので勉強がしやすいことも挙げられます。まずはテキストで掲載されている条文の解説を読み込んで、理解を深めてから過去問に取り組みましょう。
次に「国家賠償法」と「地方自治法」
次に重要なのは、「国家賠償法」と「地方自治法」です。特に「国家賠償法」は、全部で 6 つの条文しかないのですが、判例に基づいて出題される傾向がありますので、判例とともに学習しましょう。条文に対して正しい理解が出来ていれば、出題問題の難易度をそれほど高く感じることはないでしょう。
「地方自治法」は、基本的には過去問や模試などで出題された条文を解き、詳しく解説を見てから学習を進めていきましょう。地方自治法に関する条文は 300 以上あり、条文を中心に勉強していくことは効率性が良くないからです。
対策2.過去問を全問正解できるほどやり込む
行政法は過去問の踏襲性も高いので、過去問と教科書に掲載されている内容をしっかり理解することで十分に得点することが可能です。配点も最も高いので、しっかり学習して一番の得意科目にしましょう。
逆にいうと、行政法でこけるとかなり合格が厳しくなります。
対策3.表面上の理解だけではなく、判例も含めた内容の理解を
問題の内容自体は深い知識を要求してきますので、表面上の暗記だけではなく、判例を含めた内容の理解が必要不可欠です。また条文からの出題も多いため、条文自体の読み込みも欠かさないようにしてください。
記述式ではアウトプットを要求してきますので、個別の内容に関して具体的な説明が出来るレベルに達することが必要となってきます。
行政法の教科書作成法
最初にも述べましたが、行政法に関しては手抜きは許されません。行政法は民法と比べると範囲はそこまで広い科目ではありませんし、全問正解を目指す勢いで学習しましょう。捨て問など一切ないと思ってください。
教科書の作成では基本事項に付随した判例と条文を細かく記載するようにしてください。過去問等で間違えた部分に関しては教科書の加筆修正を行い、常に教科書をブラッシュアップする意識が必要です。