行政書士としての独立開業を考えた際に、競合・ライバルとなるのは自分以外の行政書士にほかなりません。
そこで、行政書士の顧客対象となりうる都道府県ごとの人口数に対して行政書士の人数が何名いるか、行政書士一人あたりの人口数を対比はどれくらいか、を比較してみることで行政書士としてある程度競合の少ない都道府県を割り出すべく、統計を元に数値を検証しました。
都道府県別の総人口と行政書士の人数の対比表
都道府県名 | 総人口(15歳以上)※1 | 行政書士 | 行政書士1人当たり の総人口数 |
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個人会員の人数※2 | 法人会員の数※3 | |||
北海道 | 4,752,000 人 | 1,741 人 | 19 | 2729 人 |
青森県 | 1,149,000 人 | 332 人 | 2 | 3461 人 |
岩手県 | 1,121,000 人 | 363 人 | 4 | 3088 人 |
宮城県 | 2,045,000 人 | 934 人 | 17 | 2190 人 |
秋田県 | 906,000 人 | 293 人 | 2 | 3092 人 |
山形県 | 980,000 人 | 419 人 | 0 | 2339 人 |
福島県 | 1,675,000 人 | 744 人 | 7 | 2251 人 |
茨城県 | 2,544,000 人 | 1,168 人 | 8 | 2178 人 |
栃木県 | 1,717,000 人 | 865 人 | 7 | 1985 人 |
群馬県 | 1,721,000 人 | 1,064 人 | 2 | 1617 人 |
埼玉県 | 6,382,000 人 | 2,379 人 | 27 | 2683 人 |
千葉県 | 5,473,000 人 | 1,995 人 | 20 | 2743 人 |
東京都 | 12,089,000 人 | 6,356 人 | 143 | 1902 人 |
神奈川県 | 8,010,000 人 | 2,860 人 | 44 | 2801 人 |
新潟県 | 2,015,000 人 | 879 人 | 9 | 2292 人 |
富山県 | 934,000 人 | 399 人 | 2 | 2341 人 |
石川県 | 1,004,000 人 | 364 人 | 2 | 2758 人 |
福井県 | 680,000 人 | 337 人 | 4 | 2018 人 |
山梨県 | 729,000 人 | 342 人 | 3 | 2132 人 |
長野県 | 1,823,000 人 | 990 人 | 4 | 1841 人 |
岐阜県 | 1,758,000 人 | 836 人 | 4 | 2103 人 |
静岡県 | 3,216,000 人 | 1,553 人 | 16 | 2071 人 |
愛知県 | 6,488,000 人 | 2,936 人 | 33 | 2210 人 |
三重県 | 1,578,000 人 | 729 人 | 2 | 2165 人 |
滋賀県 | 1,210,000 人 | 454 人 | 5 | 2665 人 |
京都府 | 2,293,000 人 | 858 人 | 16 | 2672 人 |
大阪府 | 7,749,000 人 | 3,142 人 | 57 | 2466 人 |
兵庫県 | 4,819,000 人 | 1,803 人 | 16 | 2673 人 |
奈良県 | 1,190,000 人 | 439 人 | 6 | 2711 人 |
和歌山県 | 840,000 人 | 349 人 | 0 | 2407 人 |
鳥取県 | 497,000 人 | 213 人 | 3 | 2333 人 |
島根県 | 604,000 人 | 270 人 | 2 | 2237 人 |
岡山県 | 1,667,000 人 | 777 人 | 8 | 2145 人 |
広島県 | 2,465,000 人 | 1,122 人 | 8 | 2197 人 |
山口県 | 1,227,000 人 | 468 人 | 1 | 2622 人 |
徳島県 | 664,000 人 | 342 人 | 2 | 1942 人 |
香川県 | 850,000 人 | 383 人 | 5 | 2219 人 |
愛媛県 | 1,208,000 人 | 566 人 | 4 | 2134 人 |
高知県 | 638,000 人 | 229 人 | 1 | 2786 人 |
福岡県 | 4,428,000 人 | 1,459 人 | 14 | 3035 人 |
佐賀県 | 714,000 人 | 235 人 | 0 | 3038 人 |
長崎県 | 1,192,000 人 | 375 人 | 4 | 3179 人 |
熊本県 | 1,535,000 人 | 603 人 | 8 | 2546 人 |
大分県 | 1,015,000 人 | 336 人 | 4 | 3021 人 |
宮崎県 | 949,000 人 | 492 人 | 3 | 1929 人 |
鹿児島県 | 1,417,000 人 | 793 人 | 4 | 1787 人 |
沖縄県 | 1,191,000 人 | 371 人 | 2 | 3210 人 |
※1 総務省統計局の「第3表 都道府県、年齢(3区分)、男女別人口-総人口(平成28年10月1日現在)」を参照。年齢区分として顧客対象となりえないであろう0〜14歳は省いた。15〜19歳もそれほど顧客対象とはなりえないと思われるが、統計データの関係で15歳以上のデータを使用。
※2 日本行政書士連合会のサイト参照。平成29年10月1日現在の値。
※3 日本行政書士連合会のサイト参照。平成29年10月1日現在の値。
総人口数に対して行政書士の人数が最も少ないのは青森県
対比表を見てみると、青森県が最も行政書士1人あたりの人口数が多く、ついで沖縄県、長崎県、秋田県、岩手県・・・と続きました。この結果から見ると、青森県は人口に対して行政書士の人数が最も少ない、ということが言えます。つまり、あくまで行政書士の数と人口数で見た数値だけで言えばですが、それだけ青森県は行政書士にとってライバルが少ない都道府県といえるでしょう。
その他、行政書士1人当たりの人口数が3,000人を超える都道府県の順位は以下のようになりました。
人口に対して行政書士の人数が少ない都道府県トップ8
- 青森県 3,461人 に1人
- 沖縄県 3210 人 に1人
- 長崎県 3179 人 に1人
- 秋田県 3092 人 に1人
- 岩手県 3088 人 に1人
- 佐賀県 3038 人 に1人
- 福岡県 3035 人 に1人
- 大分県 3021 人 に1人
※人口あたりの行政書士の数
また、これらの都道府県を配置で見ると、東北地方と九州・沖縄にかたよっていることがわかると思います。これらの地域は人口数に対して行政書士の数が少ないと言えます。
総人口に対して行政書士の人数が最も多いのは群馬県
対比表を見てみると、群馬県が最も行政書士1人あたりの人口数が少なく、ついで鹿児島県、長野県、東京都・・・・と続きました。この結果から見ると、群馬県は人口に対して行政書士の人数が最も多い、ということが言えます。行政書士の数と人口数で見た数値だけで言えば、それだけ群馬県は行政書士にとってライバルが多い都道府県といえるでしょう。
人口に対して行政書士の人数が多い都道府県トップ7
- 群馬県 1617 人 に1人
- 鹿児島県 1787 人 に1人
- 長野県 1841 人 に1人
- 東京都 1902 人 に1人
- 宮崎県 1929 人 に1人
- 徳島県 1942 人 に1人
- 栃木県 1985 人 に1人
※人口あたりの行政書士の数
先程見た人口当たりの行政書士が少ない県と同様にこれらの都道府県を配置で見ると、関東地方と九州にかたよっていることがわかると思います。関東近県が行政書士の数が多いのはわかりますが、九州は都道府県によって行政書士の人数が多い県、少ない県が極端である、と言えそうです。
また、比率で見ると青森県が3,461人の人口に対して行政書士が1人なのに対し、群馬県は1,617人の人口に対して行政書士が1人なので、比率で見ると倍以上違うということも見えてきます。
ただし、人口比率が全てではないことも肝に命じる
ただ、一点注意事項として、これらはあくまで都道府県ごとの行政書士の数と総人口数を比較した結果にすぎないので、一概に「この都道府県で行政書士登録すれば独立しやすい」「この都道府県はライバルが多くて大変だ」といえるわけではありません。その理由を簡単に2つ挙げてみましょう。
理由1)都道府県ごとに都市部への人口の偏りは異なる
各都道府県ごとに市区町村が存在しますが、都道府県によってその市区町村間での人口の偏りというのは全くことなります。ある都道府県では1つの市区町村に80%の人口が集中している、ということもあれば、別の都道府県では人口が多い都市が複数ある、といったこともあります。
その場合、その都市ごとにも行政書士の数は異なりますので、市区町村ごとで総人口/行政書士の数を見なければ地域ごとの有利・不利というのは言えないでしょう。
理由2)行政書士の業務内容によって仕事の数も異なる
一口に行政書士の仕事と言っても、自動車登録や飲食店の開業、会社設立など様々な業務が存在します。そういった場合、例えば自動車登録業務であれば人口よりも自動車の所有率、会社設立関連の業務であれば人口よりも会社の数が仕事の発注量に依存するでしょう。
例えば自動車の所有数に限って見てみても、愛知県は自動車の所有数が1位ですし、所有率だけで言えば実は群馬県が1位となり、こういった数値を無視して仕事量を推し量ることは出来ません。
あくまで目安の一つとして捉えること
こうしたように、あくまで人口で見えるのは行政書士の人口密度上の比率を見る尺度の一つで、業務内容や都市間での人口比率・行政書士数などによって競合がどれだけいるかは全く異なってきます。
あくまで目安の一つとして捉えましょう。
参照情報
総務省統計局ホームページ/人口推計/人口推計(平成28年10月1日現在)‐全国:年齢(各歳),男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級),男女別人口