行政書士の報酬タイミング〜なぜ安易に後払いにしてしまうのか?

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行政書士の報酬〜後払いの問題

前回の記事で、基本的には「前払いがオススメである」ということを書きました。

『前払い・後払い』行政書士報酬を受け取るベストなタイミングとは?

とはいえ、どんな時も「絶対に前払い!」といっているわけではありません。当然ですが、顧客との関係性や商習慣、戦略的に「後払い」を選択するということは十分にありえますし、信頼関係が築けている場合などは後払いでも全く問題ない場合も沢山あります。

しかし、そういった「時と場合によって戦略的に対応を変える」といったこととは全く関係なく、望んでもいないのに「とりあえず後払い」を選んでしまっている行政書士さんも多く見受けられます。なぜなのでしょうか。

後払いの方が「気持ち的に楽」だという心理が働きやすい

新人行政書士に多い、お金を請求することに対する「後ろめたさ」

士業に限らず特にフリーで仕事をされている方に多いのですが、お金をいただくこと・請求することについて苦手意識を持っていたり、悪いことみたいに思っている人は多いです。

特に新人のうちは仕事が少ないので「仕事をいただけるだけでありがたい」という心理が働きやすく、また業務経験が少ないことから来る自信のなさから、「まず仕事をしてからお金をもらう」=「後払い」を選択する傾向にあります。

責任が果たせないうちは仕方がない部分もあるが・・・

経験が少なく未熟なうちはそれもある程度致し方ない部分はあります。しかし、ある程度仕事もこなれてきてもズルズル後払いにして、トラブルに巻き込まれるケースもあります。

そういった意味でも特に新人のうちは注意が必要です。なぜかというと、仕事がもらえるだけで御の字なので、依頼に対して二つ返事でOKし、着手金も契約書もなく口約束のみで業務を行うことも多いからです。

そして新人のうちはまだお客様を見極める目も養われていないので、どういった業務や顧客によってトラブルが起こりやすいのかという知見もないため、余計にリスクが高まります。

前払いは別に“悪いこと”ではない

しかし、よくよく考えてみると別に先に支払ってもらうこと=悪いことである、という明確な理由はありません。お金を先にもらうにも後にもらうにも、どちらにしろ仕事をしっかりすればいい話なので罪悪感を感じる必要なんてないのです。

むしろお金周りのことをすっきり・はっきりした上で仕事に向き合う方が顧客側も行政書士側もやるべきことが明確になり、どちらにもメリットがあると私は考えます。

後払いである時に注意すること

後払い時の注意点

ただ、信じられないことですが、足元を見られることも多く、踏み倒されたり支払いをされないままドロンされたりすることもありえます。業務や顧客対応を多くこなし、ベテランになればそれなりに人を見る目もつき、後払いを基本としていても避けることができるそういった危険なお客様も、新人のうちは見抜けないことが多いです。

しかし、そうはいってもなかなか前払いに変えられないという人もいます。不要なトラブルを避けるためにも、後払いの時に気をつけるポイントを見ていきましょう。

人を見る

相手の時間や仕事に関する対価への考え方、態度を見ればある程度どういう人かはわかります。そういったことを理解せずに自分の都合のいいよう無料サービスを過剰に要求してくるような場合は、きちんと仕事の線引を行い、事前に書面等で合意を得ることが重要です。また高圧的であったり高慢な印象を受ける場合も注意しましょう。

着手金、半金を受け取る契約にする

特に長期間かかったり、ある程度大きなお金が動くような仕事の場合は、着手金や半金をしっかりいただくようにしましょう。着手金の金額がわからないという場合は、こちらで作業する際にかかる経費分だけをある程度算出し、仕事が完了したら残り分をもらう、ということにすれば良いでしょう。

着手金は相手の支払い意思の確認にもなります。ただ、着手金をスムーズに払ってくれる方は先払いでも問題ない、という場合もありますので、報酬額を予め提示した際に先払いを提示してから、それが難しければ着手金+後払い、という風に提案すればいいでしょう。

条件をしっかりと握る

個々での条件は、契約書のことではなく報酬額や納品タイミング等の実利面での共有事項です。最低でも、納品完了時期、納品完了の条件、請求書の発行タイミング、支払期限、報酬額等ははっきりと確認し、書面やメール等で残しておくようにしましょう。

もちろんそれらを契約書で残しておく、ということも大切なのですが、それよりも大切なのは顧客としっかりとコミュニケーションを取り、情報共有を間違いなく行い、コンセンサスをとっておく、ということです。契約書は確かに大切ですが、保険みたいなものでトラブル時には役に立ちますがあくまでそれは最終手段の話です。本質的にはその顧客との情報・認識の共有が最も大切になります。

そういった意味で顧客とのコミュニケーションの中で条件をしっかりと決め、それをなんらかの形で書面に残し、相互に共有しておく、ということを心がけましょう。

信頼関係を大切にする

これまで注意点をあげてきましたが、そうはいってもどんな仕事もお客様との信頼関係なしには成り立ちません。疑ってばかりではなく、こちらもお客様に信頼されるように、お客様のことも信頼できるようにしっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが非常に重要です。

不要なリスクを負わないこと

リスク管理が大切

未払い報酬の回収は本業とは離れた余計な仕事

未払い、未入金は本当に心理的にも労力的にも行政書士の負担になるため、できるだけ避けたほうがよい事態です。本業のサービス向上やマーケティングに時間を割くためにも、極力不要なリスクは避けるようにしましょう。

言うか言わないかの違いだけのことも多い

前払いに関しては、「言ってみたら全然大丈夫だった」「意外と前払いも嫌がらないお客様も多い」ということがあります。

お金の話がしっかり出来ると信頼もされやすい

また、お金払いのいいお客様というのは、その分仕事もきっちりしなければいけませんが、こちらがしっかりしてさえいれば最も付きやすいお客様にもなりえます。

そういった方はお金に余裕があったり、金銭感覚がしっかりしており、仕事として動いてもらうからには対価を収めるのが当然という認識があるからだと思います。そういう感覚で依頼をいただけるとこちらもビジネスライクに気持ちよく仕事ができるものです。

そしてそういうお客様にとっても、お金や納期の話をしっかりしてくれる相手というのは信頼できる相手ともいえます。特にビジネスの世界ではそうですが、お金の話をしっかりデキる人は信頼もされやすいと感じます。

報酬タイミングについては事前にしっかり決めておくことが大切

後払いも悪ではない

行政書士の経験不足であったり、会社の規定であったり条件など状況もそれぞれなので、いろいろな理由があって後払いを選択することもあると思いますが、それも別に悪いわけではありません。

また、顧客との関係性の中であったり、業務の種別によっては前払いよりも後払いの方がお互いしっくり来る場合もあるでしょう。顧客との関係性の中で成立しており、ビジネス的にキャッシュフローが回るのであれば、後払いで管理しても問題はありません。大切なのはしっかりと明瞭にして、顧客と共有しておくことです。

お金に関する部分はしっかりビジネスライクに確認しよう

仕事の対価として、良いものを提供すればしっかりと報酬は受け取るべきもの。自分の価値を高めつつ、しっかりと報酬の回収も怠らないよう、かつ労力を割かなくてもよいように工夫していきましょう。

 

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