前回の記事で、行政書士の営業活動として重要なのは新規顧客開拓であり、初回お問い合わせ後のアフターフォローであることを伝えました。そして、初回お問い合わせを増やすのに重要なのが営業チャネル(営業先)を増やすことになります。
営業チャネルを増やす方法として、「リアル営業」と「ネット営業」が2種類がありますが、ここではリアル営業についての極意を見ていきます。
行政書士の営業チャネル「リアル営業」
リアル営業という言葉を聞くと、「飛び込み営業」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかし、行政書士が飛び込み営業をしてもその効果はたかがしれていますし、おそらく最初はうまくいかないでしょう。実際、行政書士の方で飛び込み営業をしている方は、ほとんどいないと思います。ですが無意味かと言われればそうではありません。ここでは、飛び込み営業も含め、様々なリアル営業の手法から行政書士としてどう動けばいいのかを考えていきます。
行政書士によるリアル営業の手法
まず実際に可能な営業手法を考えてみましょう。簡単に考えるだけでもざっと以下のようなものが想定できます。
- 飛び込み営業(直接営業)
- チラシをまく
- ダイレクトメールを送る
- 人脈を増やす
- セミナーや無料相談会を開く
ただ、営業手法を見ただけではそこから一体どうすればよいかなかなかわかりません。なぜなら営業手法はあくまでも「手法」であって、「ターゲット」がはっきりしないままだと具体的なイメージがわかないんですね。
では、ここで具体的なターゲットになりそうなイベントや行事、集まりを考えてみましょう。
- 行政書士会の勉強会・懇談会
- 他士業との交流会
- シェアオフィス・コワーキングスペース
- 無料セミナー・無料相談会・懇親会
- 商工会議所の交流会、異業種交流会
- 地域の行事、近所への営業
- 知人、友人、親戚の集まり、同窓会
・・・e.t.c.
少しずつ具体性が見えてきました。このターゲットに対して手法を掛け合わせることで、効果的なリアル営業の手法というのが見えてきます。それぞれについて、見ていきましょう。
1.行政書士会の勉強会・懇談会
行政書士会の勉強会・懇談会では、そもそも集まっているのが行政書士なので直接のお客様にはなりえません。しかし、だからといって何もしないのは勿体ありません。
こういった場では、自分と協業出来る人間を探したり、有意な情報交換が出来たり、他の業種にツテがある人とのつながりを作ったりすることが有効です。また、自分という存在を知ってもらうこと、自分が役立つ人間であると知ってもらうこと自体も今後のつながりを築くのに有効なため、見込み顧客につながる行動として立派な営業活動になります。
有効な営業手法
- 人脈を増やす(有意義な関係を築く)
2.他士業との交流会
この場合も、勉強会などと同じように、直接のお客様となるような人間を探すよりも、自分と協業出来る人間を探したり、有意な情報交換が出来たりするつながりを作ったりすることが有効です。重要なのは、自分もまた相手に対してメリットを与えられることができるかどうかです。仕事が出来る、ある業務に関して詳しい、ビジネスセンスがある、など何か一つでも相手にメリットを与えられるようにすると、つながりが作りやすいでしょう。
また、会合後にダイレクトメール等で簡単な自己紹介と、協業に関して自分が提供できそうなスキルやアセットがあれば、そういったものを後日メールで送っておくと、何かあった時に思い出してもらえる確率が上がります。
また注意点として、他士業なので自分の顧客にもなりえる人たちではありますが、同じ士業ですし、あまりに直接営業をしかけようとすると「仕事くれくれ人間」と判定されて相手にされなくなりますので注意しましょう。
有効な営業手法
- 人脈を増やす(協業者などを増やす)
- ダイレクトメールを送る(挨拶や自分と付き合うメリット等を知らせる)
3.シェアオフィス・コワーキングスペース
近年増加しているシェアオフィスやコワーキングスペースといった場所は、あまりお金をかけずに利用することができるの同時に、起業家や自営業者、フリーランスのプログラマーやデザイナーなどが多く集まる場所になります。
こういったところではメンバー同士のコミュニティが活発で、情報交換や協業、事業が成功して会社化したり、ということが頻繁に起こりますので、行政書士にとってもビジネスチャンスが非常に大きいところです。また、勉強会やプレゼン退会などメンバー以外の人が参加できるイベントも頻繁に開催されていたりするので、そういったところに実際に参加してみると良いでしょう。
オススメの手法としては、直接営業をかけるよりも、まずはそこに所属して仲間になってしまうことです。いきなり営業をかけてしまうと、互いに「利益」を挟んだ関係になってしまい、本音で話せなくなったり、断ると気まずい、という雰囲気にになっていまいます。
しかし、一度仲間になって信頼関係を築いてしまえば、行政書士の仕事が必要になった時に「まずはあいつに聞いてみよう」「あいつに頼んでみよう」という風になります。
有効な営業手法
- 人脈を増やす(実際に所属してみる、参加してみて仲間になる)
4.無料セミナー・無料相談会・懇親会
無料で開催されるセミナーや相談会、セミナー後の懇親会などの場では、起業して間もない人やこれから起業を考えている人、ちょっとためになれば〜という感じで軽い気持ちで参加していることも多いので、こちらも軽い感じで声をかけてみるといいでしょう。
また、起業関係のセミナーなら「こういうことをやっています」という形でチラシや名刺を渡したり、「頑張っている姿」を見せることで相手からもメリットのある存在と思われて「今後のためにつながっておこう」と思ってもらえる場合もあります。基本的にリスクがないので、積極的に声をかけていきましょう。
有効な営業手法
- 飛び込み営業(直接営業)
- チラシをまく
- ダイレクトメールを送る
- 人脈を増やす
5.商工会議所の交流会、異業種交流会
異業種交流会や士業交流会などの集まりに参加し、新たな人脈を造り、そこに営業を掛けていくのも一つの方法です。しかし、商工会議所の交流会や異業種交流会では、かなりの数士業の方を見かけます。先の例でもしましたがこういった場所での直接営業は「仕事くれくれ人間」に思われてあまり歓迎されないことが多いですし、実際そういった士業の方や保険営業の方も結構います。ただ名刺を配り挨拶をしているだけでは、なかなかその後に繋がりません。
その場合は、「会社設立に特化した行政書士です」「以前ある業界に勤めていて、その業界に精通しています」など、ピンポイントで自分の強みを伝えたり、差別化できるキャラクターで自分をアピールしていくことが交流会では大切です。
こういった場に参加する場合でも、まずは「相手の話を面白がってあげる」「興味を持つ」など、相手を立てつつも有用な関係を作れる人がいないか探してみるとよいでしょう。あるいは「本当に困っていることがある」人がいれば、それを解決できる人間を紹介したりすることでもつながりを作ることができます。
有効な営業手法
- ダイレクトメールを送る
- 人脈を増やす
6.地域の行事、近所への営業
町内会や自治会、ボランティアなど地域の活動に積極的に参加し、人脈を築きその後営業をして行くのも一つの方法です。地域密着型の行政書士を目指す場合は積極的に行いましょう。ただし、どんな人でもあからさまな営業をかけると嫌がられたり、迷惑行為と受け取られる場合があるので注意しましょう。
また近所への場合はダイレクトメール・チラシ配りも有効です。地域には小さな商店や事務所があったり、自分でビジネスを持っている人が意外と隠れていたりして、そういった方が「こんな近くに行政書士がいたんだ」ということで連絡をくれる場合もあります。
有効な営業手法
- チラシをまく(地元のフリーペーパーなどもよい)
- ダイレクトメールを送る
- 人脈を増やす
7.知人、友人、親戚の集まり、同窓会
知人、友人、親戚の集まりや同窓会などがあったら積極的に参加してみましょう。自分が行政書士をしている、ということを伝えておくことで、参加している本人だけでなく、その周りの知人・友人からみで仕事を紹介してくれる場合があります。
また、開業時にはそういった知人・友人・親族・以前働いていた職場の同僚やお客さんや昔の同級生など、既に繋がりのある方々に開業のお知らせを出してみるのも有効です。こういったつながりの場合は、事前にある程度信頼関係が出来ているため、営業も行いやすいのも新人行政書士にとってはうれしいメリットです。意外にこういったところから仕事が見つかることもあります。
有効な営業手法
- チラシをまく(開業のお知らせを送る)
- ダイレクトメールを送る(開業のお知らせを送る)
- 人脈を増やす(参加する)
その場によって最適な手法を考えよう
行政書士が行う対面のリアル営業の場合、やり方によっては相手の心象を悪くしてしまったり、関係性が崩れてしまったりすることもあります。いくら仕事が欲しくてもゴリ押しはせず、相手にとっても負担のない方法を考え、長期的に相手との関係を築いていくつもりでやるとうまくいくでしょう。
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