前回の記事では行政書士会が主催している開業セミナーについて解説しました。行政書士向けの開業セミナーは主催者別に見ると主に以下の3つのパターンに別れます。
- 現役行政書士が主催している開業セミナー
- 行政書士会が主催している開業セミナー
- 専門法人などセミナー主催を生業としている会社の開業セミナー
今回はそれに引き続き、専門法人などセミナー主催を生業としている会社の開業セミナーについて見ていきましょう。
セミナー主催を生業としている会社の開業セミナーとは
専門法人などセミナー主催を生業としている会社の開業セミナーとは一体どういうものかというと、ノウハウなどの情報商材の提供や、セミナーや講習会などを事業として行っている事業会社主催のセミナーのことです。
「行政書士関係ないやん」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にこういった行政書士とは直接関わりのない会社が主催しているセミナーはかなりの数存在します。また、現役の行政書士数名を講師として囲って行政書士の実務と絡めたマーケティング講座を行ったりと、開業間もない行政書士にとって身になる講座も多く存在します。
事業会社主催の行政書士開業セミナーのメリット・デメリット
事業会社主催の行政書士開業セミナーのメリット・デメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
メリット
1.講義の内容がわかりやすく、しっかりしたものが多い
こういった会社の開業セミナーは、セミナー開催自体を専門にしているだけあって、段取りがスムーズだったり、内容がわかりやすかったりすることが多く、また資料をきちんと共有してもらえたり、セミナー後のアフターフォローが充実しているものも多く存在します。また、何度もセミナーを行って改善を繰り返しているので、行政書士が知りたい内容を熟知した上で構成されるセミナー内容は、洗練されている場合も多いです。
2.マーケティング手法にも強みがある
また、特にWebマーケティングに強い法人が主催している講座などでは、行政書士以外の業種や他士業のマーケティングもやっていることも多く、他の業種で培ったノウハウを提供してもらえることで、行政書士という狭い枠にとらわれない柔軟な姿勢で本質的な手法を学ぶことができます。マーケティングを専門としている分、行政書士主催などのセミナーよりも内容が充実していて幅広い知識が得られるわけですね。
行政書士が行政書士のマーケティングに詳しいとは限らないことから考えると、マーケティングを専門にしているということはメリットにもなりえます。
デメリット
1.値段が高い
デメリットは何と言っても値段が高いことにあります。大抵はどのセミナーでも数万円〜十数万円することがほとんどです。
2.どうしても当たりハズレはある
また、やはりどのセミナーでも共通ですが当たりハズレがあることは否めません。高ければ良いセミナーというわけでもありませんし、また自分自身に必要か否か、というのも重要な問題で、Aさんにとっては有用だがBさんにとっては目新しい内容はなく不要だった、という場合も普通にありえます。
その点については、「そのセミナーで得られたことをどう自分で活かすのか」という自分の問題でもあるので、一概に言えないところではありますが・・・。そこで、開業セミナーに行く前にそのセミナーの内容や評判を確かめる方法をご紹介します。
失敗は避けたい!セミナーに行く前に、内容や評判を確かめる方法
開業セミナーに行くにしてもお金がかかるものに関してはできるだけ失敗は避けたい!という場合がほとんどだと思います。そこで、開業セミナーの内容を事前に知るための方法としては以下の3つの方法をご紹介します。
1.インターネットで感想ブログなどを検索する
そのセミナーに実際行った人が、ブログで感想コメントなどを書いていないか調べてみましょう。しかし普通にGoogleでセミナー名だけで検索しただけだとそのセミナーの関連ページが検索結果に表示されるだけで、なかなか参加者のホンネは引っかかってきません。
そんな時は、感想に関わる一般ワードを検索ワードに含めるのが有効です。以下に例を示すので見てみて下さい。
「セミナーの名前 + 感想」
「セミナーの名前 + よかった」
「セミナーの名前 + いってきた」
「セミナーの名前 + 意味」
こういった「対象ワードと一般感想ワードを含めたワード」で組み合わせて検索すると、ブログなどで参加者のホンネなどが引っかかりやすくなり、実際に行った人の評判に辿りやすくなります。そうして参加者のブログなどを見てみることで、どういう内容がよかったのか、逆によくなかったのかなどをリアルな言葉で知ることができます。
2.SNSで検索する
Google検索でブログなどが出てくればいいのですが、なかなか行政書士という狭い業界でセミナーの参加内容に言及したブログが見つからない、といった場合もあると思います。そのようにGoogle検索では引っかからない内容としてもう一つ、SNSでセミナー名を検索する、という方法があります。
- Twitterで「セミナー名」を検索
- FacebookなどのSNSで行政書士のホンネが集まりそうな集まりを調べて検索
特にTwitterは匿名で本音やネガティブなことも吐き出しやすい傾向にあるので、検索してみる価値があります。もちろんすべてのセミナーが出てくるわけではないでしょうが、ザーッと眺めてみると案外そのセミナーについての一言コメントなどが出てきて面白いですよ。
3.他の行政書士に聞いてみる
行政書士同士の交流会や研修会、新米の行政書士が集まるイベント(行政書士会の交付式など)で、他の行政書士にそういったセミナーに参加したことがある人がいないか探してみましょう。無料のセミナー等であれば案外内容について教えてくれたりするものです。
もちろん、有料のもので有意義であればライバルともなるので教えてもらえないこともありますが、そういったところで親切に話してくれる人は、今後行政書士仲間として互いに有意な情報交換ができる人になる可能性もありますので、積極的にコミュニケーションを取ることで今後のプラスにもなります。
失敗を避けるために
失敗を避けるにはどうすればいいか?それは当然そのセミナーの内容を事前に知ることが重要です。その上で「そのセミナーが自分にとって有用かどうか」が判断できれば無駄な費用と時間を割かなくて済みます。
開業セミナーを受ける前に考えてほしいこと
開業セミナーをうければ必ずうまくいく、というわけではない
開業セミナーについては、一概に良いともよくないとも言えない部分があります。が、それよりも重要なのは、結局開業セミナーを受けても成果が出る人もいればいない人もいる、ということです。
開業セミナー自体は中身が濃いものも薄いものも様々ですが、行政書士として成功している人を見ていると「とりあえず手を動かしてやってみる」というのをやっている人が成功しているように見えます。
学んだことを実践する、手を動かすことが何より大事
逆に高額な開業セミナーを受けても大した成功を収めていない人、食っていけない行政書士に共通しているのは「学んだことを実践していない」ということに尽きると思います。せっかく「こうやればうまくいく」ということを学んでも、それを形にし動いていくのは資本がないうちは自分しかいないわけで、「受け身で行っても大した身にはならない」というとです。
セミナーに行く場合は、限られた時間を有効につかうためにも、必ず「実践すること」を前提にいくようにしましょう。