晴れて行政書士試験に合格し、行政書士会への入会が認められると、新人行政書士は単位会から「報酬額表」(見本)がもらえます。行政書士はこの「報酬額表」に取扱業務の報酬額を明記して、事務所の見やすい場所に掲示する義務があります。
第十条(報酬の額の掲示等)
1 行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。
2 行政書士会及び日本行政書士会連合会は、依頼者の選択及び行政書士の業務の利便に資するため、行政書士がその業務に関し受ける報酬の額について、統計を作成し、これを公表するよう努めなければならない。引用 行政書士法
そして、報酬額は各行政書士が自由に定めることができます。そこで難しいのが、この「報酬額の設定」です。新人行政書士はここで頭を抱えます。
このページでは、報酬額の決め方について考え方も含めて見ていきましょう。
報酬額は戦略的に決めるのが大事
1.最初は安めの報酬額でも良い
インターネットで様々な行政書士の意見を見ると「相場より高くすべし」という意見が比較的多く見られます。結論からいうと、それも間違いではないのですが、私はあえて「最初は相場より安くても仕事を受けるのを優先すべき」だと考えています。
理由はいくつかあるのですが、最も重要なのが数をこなして経験を得ることの方が大切だと考えているからです。仕事を数多くこなすことでその業務の勘所が見えてきたり、効率化すべき点がわかることもありますし、お客様とのやり取りや役所とのやり取りでどうすればスムーズにいくのか、という何よりも代えがたい経験が得られます。
もちろん、ただ闇雲に安くしろ、といっているのではなく、あくまで段階が必要だということです。もちろん最初から報酬を高めに設定して仕事をバンバン取り、業務をスムーズに遂行できるのが一番ですが、最初からそんなにうまくいきません。
まずは勉強だと思って、仕事をやることを優先した方が最終的に実りが多いと考えます。
2.ある程度の段階で報酬額を上げる
とはいえ、いつまでも安くし続けていると業務過多でいずれ回らなくなるでしょう。また、一般論として安い料金だと顧客の質もそれなりになる、というのは行政書士も同じで、そういったことも低価格路線でやっていると見えてきます。
そうなった時初めて、ある程度報酬額を上げるのです。そうすると、安い価格にした時と価格を上げたときでどれくらい問い合わせに差が出るのかわかりますし、何よりマーケティング感覚が身につくようになるのです。
またその時点で業務自体は沢山数をこなしていたわけですから、報酬額を上げたことで問い合わせが減ると、一人ひとりの顧客に対して質の高いサービスを提供したりといったことも可能になり、様々な面で工夫もしやすくなります。
3.価格設定は永遠の課題だが、ある程度正解はある
突拍子もなく高い報酬額というのもやはり成立はしません。顧客に対しベネフィットを提供しつつ、自分も納得して仕事ができる報酬額を見つけることが大切です。
報酬額の参考になるもの
それでも報酬額に悩んだら、ひとまず日行連が出している「報酬額統計」を参考にするがよいでしょう。
こちらを参考に、インターネットで自分が所属している都道府県でベンチマークとなる行政書士さんのWebサイトを探し、その価格よりも若干安くすることで競合優位性をだすことができます。
身の丈にあった報酬額を考えよう
いかがでしたでしょうか。報酬額の設定も戦略次第で、もちろん最初から高額設定で責める、というのも手なのですが、私としてはオーソドックスにまずは経験を積むことを優先して安く設定する、という戦略を提示しました。
もちろん、報酬額が安いままではいけない理由もありますので、それは別の機会にご紹介します。まずは身の丈にあった報酬額を取ってしっかり業務を行うことを考えましょう。